仙崖展と九州鉄道記念館2008年09月14日 23:59

「月光型」と呼ばれる寝台電車581系。国鉄史に残る名車です。
 門司の出光美術館で、仙崖展があったので観に行きました。
 仙崖義梵って人をご存知ないですよね?。江戸時代、福岡を拠点に活躍した臨済宗の禅僧で、この方の描く禅画がとてもいいのです。禅画というと、なんか「これが悟りぢゃ」としたり顔で言ってきそうな嫌味を感じるものもありますが、仙崖の作品はどこかユーモラスで人間味があって好きなんですよ。
 ご存知の方は知っているとおり、出光興産の創業者、出光佐三氏によって見出され、その作品のほとんどを出光美術館が所蔵しているので、出光発祥の地、門司の出光美術館で、こうして企画展を拝見することができるのです。
 仙崖の作品に魅了されたきっかけとなった絵に、「坐禅蛙」というのがあります。最小限の線で蛙の絵が描いてあり、「坐禅して人が佛になるならば」という画賛が添えてあります。今回、もちろんその「坐禅蛙」も展示されていて、しばらくその前で動けませんでした。あと、「猫に似たもの」という言葉と共に描かれた、まるでのび太の丸眼鏡をかけたような虎の絵や、「とど画賛」という、当時めずらしかったであろうトドを描いた作品などの動物ものが気に入りました。
 あとは、禅画でよく採り上げられる円相もありました。忘れていけないのは、○△□の絵です。今は出光興産本体に合併しましたが、出光石油化学のマークにも使われていました。スタンドにも一時期描かれていましたね。宇宙を表すそうです。金子みすゞではありませんが、みんなちがって、みんないい、という境地かなと自分的には思います。やはり、本物はいいですね。来た甲斐がありました。

 そのあと、九州鉄道記念館へ。以前から来ようと思ってなかなか機会がなかったのです。目的は、もちろん廃車になった実車の展示です。九州に縁のある車輛が8輛展示してあります。長いこと豊後森機関区跡に保存してあったキハ07を見たかったので、車内に入れてうれしかったです。木造の車内の質感、クラッチペダルのある機械式気動車のメカニカルな運転台が素晴らしいです。あと、ぼくらが子どもの頃に憧れの特急電車がありました。ボンネットタイプの485系もですが、寝台電車581/583系が懐かしかったです(注:展示してあるのは近郊型に格下げされたものを旧塗装に塗り替えたもので、現車と車内は異なります。)。プルマン式の寝台も再現され、ベネシアンブラインドや折り戸など、古き良き時代の国鉄特急の香りを今に伝えます。子どもの頃、家族旅行で寝台列車に乗ったのが、この581系でした。何度もお世話になった思い入れのある車輛です。…ちなみに、寝台車に乗ったときは、もうおねしょの心配はなかったんですが、ちょっとだけおねしょしちゃったらどうなるんだろう?とか思ったものでした(^^;。今、現役の子どもがそんな質問をしたら、車掌さんにおしりぺんぺんされるよ、と答えることにしましょう(笑)。それはともかく(^^;、好きだった頃の国鉄車輛に触れて乗れて、しばし鉄道少年に戻ったような気持ちになれました。