舞台版ドラえもん「のび太とアニマル惑星」鑑賞2008年08月03日 23:59

北九州芸術劇場中劇場の内部。このポスター好き^^。
↑ポスターの左上、「トイレにいったかな?」って書いてあります(笑)。

 今日、小倉へ出かけました。ドラ映画の名作、「のび太のアニマル惑星」が、鴻上尚史氏の脚本で舞台化されたのです。きっと東京とかでしかやらないんだろうな、と思ったら、何と北九州芸術劇場に来るというではないですか!。しかも、日曜だし、空席あるかな、と思って調べたら、通路側が取れたので、即申し込んで、ローソンチケットで切符を買っておいたのです。着ぐるみとかではなく、ドラえもん以外は俳優さんが演じるのですが、あの鴻上尚史の手で舞台化したらどうなるのかとても興味があります。「アニマル惑星」は大好きだし(犬キャラのチッポかわいい)これからの二次創作に活かしていこうと思って、観劇に行った次第です。
 今回も、0系新幹線で新下関まで。ここで降りると特急料金が割安なので、あとは在来線で関門トンネルをくぐって九州入りしました。西小倉駅で降りてリバーウォークにある北九州芸術劇場へ。上演される中劇場へ入ると、子ども連れがほとんどでした(^^;。ホールは思ったよりも小さく、双眼鏡を持ってくるほどでもありませんでした。盛り上げようと、劇団の方(?)がギターを弾いて「夢をかなえてドラえもん」を歌いながら会場内を回っていました。パンフレットを買って、始まる前にトイレに行っておこうと思ったら、子どもばっかりでした(^^;。
 時間になって、開演です。ドラえもんは着ぐるみで、声は水田わさびさん。配役等は以下をご覧下さい。
http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/event/2008/0802doraemon.html
 正直言って、舞台に合わせていろいろアレンジされてるのかなと思いましたが、意に反して元の映画に忠実に舞台化されているのに驚きました。元の映画を見ていれば、何倍も楽しめる内容でした。著作権上、映画の主題歌「天までとどけ」が使えなかったのは残念ですが、それ以外は申し分のない内容でした。
 子ども向けだけではないけど、やはり、子どもがどういう反応をするか気になりました。最初、実写版ののび太や短足のドラえもんの動きとかに違和感を感じていた風な子どもたちが、徐々に舞台と一体化していって、最後のカーテンコールでは、ちぎれんばかりに手を振って、「ドラえも~ん」って叫んでいたのが印象的でした。自分なりの解釈を加えて改変することではなく、原作をそのままやっていることに、『ドラえもん』に対する最大の讃辞を感じましたし、この引き込まれるような臨場感、一分の隙もない仕上がりに、一流の創作とはこういうことかと感じました。本当に、いいものを見せてもらったと思います。DVD化されるとのことなので、発売されたら買いたいです。
 感動しつつ劇場をあとにして、昼食は「四方平ラーメン」でラーメンと鉄火巻きのセットを食べて、書店を2軒巡って、帰りました。

不二夫と不二雄2008年08月07日 23:59

 2日に、赤塚不二夫先生が亡くなりました。

 『おそ松くん』は、世代的にちょうど狭間にあたっていて、一般的な知識しかありません。赤塚先生のアニメで一番親しんだのは『天才バカボン』です。世間ではバカボンのパパが人気ですが、その名の通り主人公はバカボンなんですね。破天荒なパパと、良妻賢母なママと、天才児の弟ハジメちゃんに較べて地味ですが、その天真爛漫なのほほんとしたキャラクターは、男の子キャラとして充分可愛かったです。アニメとか再放送してたので、子どもの頃何回も見た記憶があります。印象的なお話では、バカボンのパパがスイカを冬まで冷蔵庫に保管していて、それをどうしてもほしがるお金持ちと、お屋敷一軒と交換する、というのがありました。で、あまりにも家が広いので、トイレに間に合わず…というエピソードが^^;。パパはどうでもいいのですが、そのあとバカボンがおもらししてくれました。いつもの着物を干して、パパに「このこと誰にも漏らさないでね」と言うと、「漏らしたのはバカボンなのだ」とからかわれていました…って、こんなのばっかり憶えてたりして^^;。「デヘヘヘ」って照れ笑いするバカボンがとってもキュートでした。

 ところで、藤子キャラと赤塚キャラの描き方の違いって知ってますか?。斜め顔と呼んでるんですが、たとえば少し右向きの顔を描いたとしたら、右耳が見えるのが藤子キャラのデフォルトで、赤塚キャラは見えないのが標準なのです。今度ぜひ見比べてみてください^^。

 藤子先生と赤塚先生、どちらもフジオのフジを"不二"という字を使われている点に注目しています。二つあらず…他の誰でもない、誰も描かない漫画を描くという決意が込められていると思います(藤子先生の場合は、二人で一人という意味も入っていると思いますが。)。実際、ギャグマンガを描いても、思い切り常識を破壊する赤塚漫画と、常識に入り込むズレを狙ったおかしみを描く藤子漫というように全然違います。トキワ荘時代、年上の藤子先生より、先に赤塚先生が売れっ子になったのですが、もし流行を狙って赤塚先生の真似をしていたら、今日我々が知る藤子漫画はなかったと思います。毎日影響を与え合いながら、染まることなく、それぞれの個性を伸ばして行かれたトキワ荘の先生方は本当にすごいと思います。トキワ荘も、大半が来世に移転してしまいました。先に逝かれた先生方と、今どんなお話をされているのでしょうか…。

 この日記をご命日でなく7日にしたのは、葬儀の時のタモリさんの弔辞に感動したからです。よく知られているように、タモリは赤塚先生によって見出されました。大恩ある方に対する言葉は、紙に書かれたものではなく、心からのアドリブであったと伝えられています。「すべての出来事を受け容れあるがままに肯定する」それがすなわち「これでいいのだ」だったというのは、まさに赤塚先生の作品とお人柄を端的に言い表した名言だと思います。結びの言葉で、「私もまたあなたの数多い作品の一つです」とおっしゃいました。これ以上の尊敬の言葉を、私は知りません。さすが当代一流のエンターティナー、記憶に残る素晴らしい弔辞でした。

ポニョポニョポニョさかなの子♪2008年08月30日 23:59

豊饒の海瀬戸内海の多島美。これが私の海なのだ。
 というわけで、「崖の上のポニョ」観てまいりました(^^;。
 レイトショーにもかかわらず、ほぼ満席であります。すごい人気ですね。斜め後ろのおばさんが、ちらちら携帯を見るので、その光がちょっと気になりました(--)。
 ストーリーですが、単純明快でよかったと思いますよ。深い思想とか求めている人には肩すかしだと思いますが、もともと子どもが楽しめることがアニメとして一番理想なんじゃないでしょうか。大人になると、好きだからという理由だけでは一緒にいることができなくなってしまいますが、ポニョと宗介は、子どもの論理で「好き」を全面に押し出してきます。ピュアだけど遠慮のない子どもの愛が描かれていて、観たあとさわやかな気持ちになれました。
 宗介の子どもらしい動きがかわいかったですね。海に入るとき、靴を手を使わずに脱いで、船を置いて、半ズボンの裾をまくりながら、眼はポニョの方を見ているところとか、バケツに水を張ってポニョを入れてやって、そのあとのあの有名なシーンとか、よく子どもを観察していらっしゃると思いました。あと、ポニョと宗介が、ひとつのソファで丸くなって寝ているのとか、子ども時代を想い出しました。布団ではない場所で夜を過ごすのって、非日常的でどきどきしましたっけ。ほかにもいろいろ名シーンがあったのですが、それはこのあたりで。
 あと、私的に特筆すべきは、背景です。ある方が、「海をテーマにしている割には、海がせせこましい。」みたいなことを書いておられましたが、あれは瀬戸内海なんですよ。宮崎監督が、福山市の鞆の浦にこもって作品を構想されたのは有名な話です。でも、ここまで瀬戸内海らしく描かれるとは思いませんでしたよ!。島がいっぱいあって、狭い海峡をたくさんの船が行き来していて、入り江には、それぞれ海と山に囲まれるように小さな集落があって…父方の実家が瀬戸内海の島だったので、子どもの頃を懐かしく想い出しました。底引き網でいっぱいゴミが引っかかっていましたが、あの通り決してきれいじゃないけど、豊かで穏やかな母なる海。環瀬戸内海に暮らす三千万人の人たちに、特に見ていただきたい映画だと思いました。
 (余談ですが、映画中にアマチュア無線で交信するシーンがあって、宗介の家の局のコールサインが"JA4…"と言っていました。J○4は、中国総合通信局(旧電気通信監理局)管内の無線局を表しているので、それを見ても舞台が中国地方だとわかるんですよ。細かいなあ。)