こんな風に歳を取りたい…。2008年10月05日 23:59

 緒形 拳さんが亡くなられたと聞いて、びっくりしています。つい先日、NHK広島放送局制作のドラマに主演されていたのに…。
 一時期、緒形さんが好きでした。あんな風に歳をとったらかっこいいだろうなと憧れていました。そのきっかけは、TBS東京放送で放送された『忠臣蔵』でした。大石内蔵助役がビートたけしで、緒形さんは大野九郎兵衛を演じました。通常忠臣蔵では、大石が忠臣として描かれて、大野は不忠者として悪役なのが普通なのですが、この作品では、大野はお家再興のために尽力する実務家として奔走し、大石は決断力のないまま、突出した人たちに仇討ちの首謀者にずるずると巻き込まれていく…というストーリーでした。その、凡庸な大石を演じたビートたけしもよかったのですが、あくまで脇役の緒形さんがものすごくかっこよかったので、いっぺんに好きになったというわけです(ちなみに、緒形さんもNHK大河ドラマ『峠の群像』で、主役大石内蔵助をやっておられます。)。以降、いくつか映画を借りてきたりして、映像の緒形さんを追いかけたものでした。本当に、いるだけで存在感のある名優でありました。先のNHK広島のドラマ『帽子』ですが、録画したまままだ観ていません…なんか、見れなくて。
 それと、意外な一面として、緒形さんはドラえもん好きだったということです。作品としての『ドラえもん』ではなく、あくまでキャラクターとしてのドラえもんですが。なんか、ゲームセンターでドラえもんのぬいぐるみををゲットしてから好きになられたらしいです。緒形さんがゲームセンターに行くこと自体驚きですが、とても身近に感じるエピソードでますます緒形さんが好きになりました。
 …すごいファンみたいに書きましたが、実はそんなに映画とか観ていないんです^^;。時間を見つけて、遺された作品を拝見していけたらと思います。亡くなる間際まで演じ続けた役者魂、かっこいい生き様に改めて感銘を受けました。

仙崖展と九州鉄道記念館2008年09月14日 23:59

「月光型」と呼ばれる寝台電車581系。国鉄史に残る名車です。
 門司の出光美術館で、仙崖展があったので観に行きました。
 仙崖義梵って人をご存知ないですよね?。江戸時代、福岡を拠点に活躍した臨済宗の禅僧で、この方の描く禅画がとてもいいのです。禅画というと、なんか「これが悟りぢゃ」としたり顔で言ってきそうな嫌味を感じるものもありますが、仙崖の作品はどこかユーモラスで人間味があって好きなんですよ。
 ご存知の方は知っているとおり、出光興産の創業者、出光佐三氏によって見出され、その作品のほとんどを出光美術館が所蔵しているので、出光発祥の地、門司の出光美術館で、こうして企画展を拝見することができるのです。
 仙崖の作品に魅了されたきっかけとなった絵に、「坐禅蛙」というのがあります。最小限の線で蛙の絵が描いてあり、「坐禅して人が佛になるならば」という画賛が添えてあります。今回、もちろんその「坐禅蛙」も展示されていて、しばらくその前で動けませんでした。あと、「猫に似たもの」という言葉と共に描かれた、まるでのび太の丸眼鏡をかけたような虎の絵や、「とど画賛」という、当時めずらしかったであろうトドを描いた作品などの動物ものが気に入りました。
 あとは、禅画でよく採り上げられる円相もありました。忘れていけないのは、○△□の絵です。今は出光興産本体に合併しましたが、出光石油化学のマークにも使われていました。スタンドにも一時期描かれていましたね。宇宙を表すそうです。金子みすゞではありませんが、みんなちがって、みんないい、という境地かなと自分的には思います。やはり、本物はいいですね。来た甲斐がありました。

 そのあと、九州鉄道記念館へ。以前から来ようと思ってなかなか機会がなかったのです。目的は、もちろん廃車になった実車の展示です。九州に縁のある車輛が8輛展示してあります。長いこと豊後森機関区跡に保存してあったキハ07を見たかったので、車内に入れてうれしかったです。木造の車内の質感、クラッチペダルのある機械式気動車のメカニカルな運転台が素晴らしいです。あと、ぼくらが子どもの頃に憧れの特急電車がありました。ボンネットタイプの485系もですが、寝台電車581/583系が懐かしかったです(注:展示してあるのは近郊型に格下げされたものを旧塗装に塗り替えたもので、現車と車内は異なります。)。プルマン式の寝台も再現され、ベネシアンブラインドや折り戸など、古き良き時代の国鉄特急の香りを今に伝えます。子どもの頃、家族旅行で寝台列車に乗ったのが、この581系でした。何度もお世話になった思い入れのある車輛です。…ちなみに、寝台車に乗ったときは、もうおねしょの心配はなかったんですが、ちょっとだけおねしょしちゃったらどうなるんだろう?とか思ったものでした(^^;。今、現役の子どもがそんな質問をしたら、車掌さんにおしりぺんぺんされるよ、と答えることにしましょう(笑)。それはともかく(^^;、好きだった頃の国鉄車輛に触れて乗れて、しばし鉄道少年に戻ったような気持ちになれました。

不二夫と不二雄2008年08月07日 23:59

 2日に、赤塚不二夫先生が亡くなりました。

 『おそ松くん』は、世代的にちょうど狭間にあたっていて、一般的な知識しかありません。赤塚先生のアニメで一番親しんだのは『天才バカボン』です。世間ではバカボンのパパが人気ですが、その名の通り主人公はバカボンなんですね。破天荒なパパと、良妻賢母なママと、天才児の弟ハジメちゃんに較べて地味ですが、その天真爛漫なのほほんとしたキャラクターは、男の子キャラとして充分可愛かったです。アニメとか再放送してたので、子どもの頃何回も見た記憶があります。印象的なお話では、バカボンのパパがスイカを冬まで冷蔵庫に保管していて、それをどうしてもほしがるお金持ちと、お屋敷一軒と交換する、というのがありました。で、あまりにも家が広いので、トイレに間に合わず…というエピソードが^^;。パパはどうでもいいのですが、そのあとバカボンがおもらししてくれました。いつもの着物を干して、パパに「このこと誰にも漏らさないでね」と言うと、「漏らしたのはバカボンなのだ」とからかわれていました…って、こんなのばっかり憶えてたりして^^;。「デヘヘヘ」って照れ笑いするバカボンがとってもキュートでした。

 ところで、藤子キャラと赤塚キャラの描き方の違いって知ってますか?。斜め顔と呼んでるんですが、たとえば少し右向きの顔を描いたとしたら、右耳が見えるのが藤子キャラのデフォルトで、赤塚キャラは見えないのが標準なのです。今度ぜひ見比べてみてください^^。

 藤子先生と赤塚先生、どちらもフジオのフジを"不二"という字を使われている点に注目しています。二つあらず…他の誰でもない、誰も描かない漫画を描くという決意が込められていると思います(藤子先生の場合は、二人で一人という意味も入っていると思いますが。)。実際、ギャグマンガを描いても、思い切り常識を破壊する赤塚漫画と、常識に入り込むズレを狙ったおかしみを描く藤子漫というように全然違います。トキワ荘時代、年上の藤子先生より、先に赤塚先生が売れっ子になったのですが、もし流行を狙って赤塚先生の真似をしていたら、今日我々が知る藤子漫画はなかったと思います。毎日影響を与え合いながら、染まることなく、それぞれの個性を伸ばして行かれたトキワ荘の先生方は本当にすごいと思います。トキワ荘も、大半が来世に移転してしまいました。先に逝かれた先生方と、今どんなお話をされているのでしょうか…。

 この日記をご命日でなく7日にしたのは、葬儀の時のタモリさんの弔辞に感動したからです。よく知られているように、タモリは赤塚先生によって見出されました。大恩ある方に対する言葉は、紙に書かれたものではなく、心からのアドリブであったと伝えられています。「すべての出来事を受け容れあるがままに肯定する」それがすなわち「これでいいのだ」だったというのは、まさに赤塚先生の作品とお人柄を端的に言い表した名言だと思います。結びの言葉で、「私もまたあなたの数多い作品の一つです」とおっしゃいました。これ以上の尊敬の言葉を、私は知りません。さすが当代一流のエンターティナー、記憶に残る素晴らしい弔辞でした。

舞台版ドラえもん「のび太とアニマル惑星」鑑賞2008年08月03日 23:59

北九州芸術劇場中劇場の内部。このポスター好き^^。
↑ポスターの左上、「トイレにいったかな?」って書いてあります(笑)。

 今日、小倉へ出かけました。ドラ映画の名作、「のび太のアニマル惑星」が、鴻上尚史氏の脚本で舞台化されたのです。きっと東京とかでしかやらないんだろうな、と思ったら、何と北九州芸術劇場に来るというではないですか!。しかも、日曜だし、空席あるかな、と思って調べたら、通路側が取れたので、即申し込んで、ローソンチケットで切符を買っておいたのです。着ぐるみとかではなく、ドラえもん以外は俳優さんが演じるのですが、あの鴻上尚史の手で舞台化したらどうなるのかとても興味があります。「アニマル惑星」は大好きだし(犬キャラのチッポかわいい)これからの二次創作に活かしていこうと思って、観劇に行った次第です。
 今回も、0系新幹線で新下関まで。ここで降りると特急料金が割安なので、あとは在来線で関門トンネルをくぐって九州入りしました。西小倉駅で降りてリバーウォークにある北九州芸術劇場へ。上演される中劇場へ入ると、子ども連れがほとんどでした(^^;。ホールは思ったよりも小さく、双眼鏡を持ってくるほどでもありませんでした。盛り上げようと、劇団の方(?)がギターを弾いて「夢をかなえてドラえもん」を歌いながら会場内を回っていました。パンフレットを買って、始まる前にトイレに行っておこうと思ったら、子どもばっかりでした(^^;。
 時間になって、開演です。ドラえもんは着ぐるみで、声は水田わさびさん。配役等は以下をご覧下さい。
http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/event/2008/0802doraemon.html
 正直言って、舞台に合わせていろいろアレンジされてるのかなと思いましたが、意に反して元の映画に忠実に舞台化されているのに驚きました。元の映画を見ていれば、何倍も楽しめる内容でした。著作権上、映画の主題歌「天までとどけ」が使えなかったのは残念ですが、それ以外は申し分のない内容でした。
 子ども向けだけではないけど、やはり、子どもがどういう反応をするか気になりました。最初、実写版ののび太や短足のドラえもんの動きとかに違和感を感じていた風な子どもたちが、徐々に舞台と一体化していって、最後のカーテンコールでは、ちぎれんばかりに手を振って、「ドラえも~ん」って叫んでいたのが印象的でした。自分なりの解釈を加えて改変することではなく、原作をそのままやっていることに、『ドラえもん』に対する最大の讃辞を感じましたし、この引き込まれるような臨場感、一分の隙もない仕上がりに、一流の創作とはこういうことかと感じました。本当に、いいものを見せてもらったと思います。DVD化されるとのことなので、発売されたら買いたいです。
 感動しつつ劇場をあとにして、昼食は「四方平ラーメン」でラーメンと鉄火巻きのセットを食べて、書店を2軒巡って、帰りました。

森先生の原画が当たる(^^)2008年07月22日 23:59

手書きの息づかいが聞こえてきそう…宝物にします(^^)。
 先日、森雅之先生の公式サイトで、プレゼント企画がありました。サイン本とか、いろいろ当たるなかで、先生の原画があったのでそれを希望しました。森先生の絵は好きなので、横顔とかいつもお手本にさせていただいています、と、本当のことを書いて応募したら、なんと当選したんですよ!。懸賞に当たったのは、昔、日立の「この木なんの木」CDをゲットしたのと、北海道の乳業メーカーにメッセージを寄せたら、乳製品セットをもらったことくらいなので、大いに喜びました。
 で、いよいよ送ってこられました。『散歩手帖』という本に掲載されている絵のうちのいくつかの下絵が、紙いっぱいに描いてあります。正直、一部だけ切り取って戴けるのかと思っていましたので、感激しました。私が「横顔」って書いたからか、横顔が多く収録されています。本と見比べながら、至福のひとときを過ごしました。
 先日の藤子F先生の展覧会のときにも書きましたが、やはり生の絵の持つ存在感は素晴らしいです。宝物にします。とても及びませんが、自分もがんばって絵を描いていこうと思いました。